【検討中止】サバ養殖(陸上)事業

  • 2023年3月24日
  • 2023年3月24日
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<最初に>

※本内容はアカデミックな内容でなく、「事業検討」の視点で作成しておりますので、サバに関する情報誤差はご了承下さい。

※PC /タブレット画面を推奨させて頂きます。

[結論] タイのサバ養殖事業の検討やめました

先日、大学の教授様に時間を頂き事業計画を説明させて頂きましたが、ご丁寧なアドバイス頂いた上で、中止を決定しました。

最大の要因は「養殖の生産性」です。

サバが回遊魚の為、生産性と限界利益より事業性の限度が見え、断念しました。

-「回遊魚」とは、季節や生息環境によって、一定の周期で移動する魚のことを指します。例えば、サケやマグロ、サバ、アユなどが代表的な回遊魚です。回遊魚は、産卵場所や食物の豊富な場所を求めて、長距離を移動することがあります。また、その移動には、海流や気象条件などの環境要因が関わっていることもあります。- by ChatGPT

事業内容と背景

サバについて

一つずつ説明させて頂きますが、まずはサバの特徴を簡単に説明させて頂きます

 

 

事業内容

以下を念頭に検討進めて行きました。

  • 「マサバ」を対象にする
  • バンコク近郊の弊Grの土地と再エネ電力を活用
  • 産学官の提携で資金(補助金)調達・研究・ブランディング
  • 付加価値を活用しタイ国内で販売を主とする

 

検討切り口

  1. 大衆魚でタイ国内の市場が大きい
  2. 「陸上養殖」で付加価値
  3. 非常に優秀な栄養素
  4. 我々の「強み」

大衆魚でタイ国内での市場が大きい

1.  世界のサバ漁獲量推移。世界で年間およそ350〜450万トン漁獲量。

 

2. サバの流通量推移@タイ。年間20万トン弱の需要があり、輸入国別統計からマサバ/ゴマサバが多く日本からのサバの需要高いことがわかります。(日本・中国・台湾はマサバ/ゴマサバ、ノルウェー・英国はタイセイヨウサバと推定)

※「流通量=国内漁獲量+輸入量」で推測

 

3. タイにおける日本食店舗及び寿司店の増加。サバ製品の受け皿(市場)が多いことがわかります。(参照:JETRO 2022年度タイ国日本食レストラン調査

 

4. 最後にタイ国内の推定市場。JETRO発行の「サバの市場価格調査」「品目別レポート さば」を参考にすると、サバの加工品だけで円換算でおよそ700〜1500億円の市場があると推定します。(参考ですが、2019年度の「Jリーグ」の総営業収入が1325億円と言われてます)

 

「陸上養殖」で付加価値

活魚での提供

「サバの特徴①」の通り、劣化が早く腐りやすい魚。その為、獲るとすぐに塩で〆たり、提供するときには焼いて出すのが通常。

その為、「活魚」で出すこと自体に価値があります。

ここに目をつけたのが、佐賀県唐津市。

唐津市と九州大学が提携し陸上養殖を平成26年から実施し、養殖技術を確立し「唐津Qサバ」として活魚を提供中。

後述しますが、タイでは海水温度が高い為、マサバ・タイセイヨウサバがタイ沿岸からは獲ることができません。

結果として、活魚の提供に価値があると考えました。

中毒原因感染リスク低

天然サバは寄生虫のアニサキスに感染しているケースがあります。アニサキスを死滅させる為に加熱処理をするか、冷凍処理するのが一般的です。

そのため、陸上養殖をすることにより、海の生き物に寄生するアニサキスの感染リスクをかなり低くできる。これも大きな価値になります。

参考:一般社団法人 アニサキスアレルギー協会

 

非常に優秀な栄養素

一度は耳にしたことがあると思いますが、サバは大衆魚として手に取りやすいながら、優秀な栄養素を持っています。

サバ種類 マサバ タイセイヨウサバ ゴマサバ
カロリー 211kcal 295kcal 131kcal
たんぱく質 20.6g 17.2g 23g
脂質 16.8g 26.8g 5.1g
炭水化物 0.3g 0.4g 0.3g
鉄分 1.2mg 0.9mg 1.6mg
EPA 690mg 1800mg 230mg
DHA 970mg 2600mg 830mg

※生の可食部100gあたりの数値

たんぱく質と必須脂肪酸であるEPA/DHAが多く、糖質(炭水化物)が低いのが特徴です。

その豊富な栄養素と安価なことから、特にトレーニーや食事制限をしている人には特に必須な食材となっております。

参考:DHA・EPA協議会

参考:サバペディア

我々の「強み」

最後に強みを整理します。

しかし、「強み」がある一方で「課題」もあります。

「課題」の検討・対応

養殖経験・ノウハウがない
 ①「養殖」に関して
 ②「海水」に関して

上記の「強み」のとおり、ハード部分は万全な一方、実際の知見(ノウハウ)などソフト部分がありませんでした。

そこで、プロフェッショナルの方達に直接問い合わせをして相談をさせて頂きました。

「養殖」に関して

前述の「唐津Qサバ」を担当されている唐津市水産課様へ問い合わせ、養殖に関する状況や課題など情報交換をWeb会議で実施して頂きました。

そして、養殖技術そのものは提携踏まえて兆しはみえたものの、大きな課題として、タイの海水温度が30℃を超えるので、陸上養殖で冷却設備を使用が必須だと判明。

冷却設備の導入と電力は障壁にはならないと判断するも、陸上養殖で使用する海水自体をどのようにするかで難航。

海水を海岸から都度輸送するのは非常に非効率でエネルギー負荷もかかる為、代替案を検討していると、

岡山理科大学で開発・特許取得した「好適環境水」というものを発見。

「海水」に関して

岡山理科大学の研究・社会連携部様へ問い合わせるも、既にプロジェクトを多く抱えていた為、新プロジェクトの対応は難しいとのご回答。

諦めきれず、教授様と直接話をさせて頂く場を求め、タイから足を運んで日本の講演会に参加してご挨拶。その後、タイへご出張の機会に、タイで直接お話をさせて頂く機会を設けることができました。

「好適環境水」の適用は可能でしたが、前述の通り、生産性が想定より悪いことが明白に。

残念ながら、検討を断念せざるえませんでした。

結論

成魚になるのに最低2-3年を要し、養殖中にアクシデント(停電や自然災害など)があると、一瞬で資産価値を失う。

それだけでなく生産性が悪いと、事業として全く成立しない養殖の難しさを改めて認識し、検討を断念しました。

 

整理 ①実現を阻んだもの

  • 地域不適性(タイ海水温度)
  • 低い生産性

整理 ②振り返り

 土地や資源を有効活用できる環境は強い

 生産性を神経質に確認する

 人と直接会って話をする

 産学官のスキームは強い

 信頼できる現地パートナーは不可欠

 あきらめない

さいごに

一部の詳細の内容は掲載しませんでしたが、

もし詳しく知りたい方や、知見がある方からの諸々の御指摘は嬉しいです。

本件に限らず、タイでの各ビジネス構築にご興味・アイディアある方は是非ご連絡頂きたいです。

こちら側で提供できるものと掛け合わせて

何かを創る話し合いできるのをお待ちしております。

他 注意事項

聞いた話になってしまいますが、

ここ数年、養殖ビジネスに関する投資案件が日本では出回っているようです。

事業計画書の中でコスト関連はほぼ正しい数字のようですが、生産性の数字がかなり違うとのこと。

結果として、実行しても計画利益までほど遠く、運営側の投資家への説明も「自然事由」で、誰もその先を追求できないようです。

養殖ビジネスは漁業関連の知見者によくよく「生産性」をご確認下さい

 

以上、ご覧頂きましてありがとうございました。