タイ王国 基礎情報【ビジネス編】

この記事を読むのに約3分ほどお時間いただきます


「よく移住先で話を聞くタイのビジネス状況ってどんな?」と思われた読者のみなさま、
本記事のぞいて頂いてありがとうございます。

「タイの正確な公式情報を手軽に見たい」
「政府の資料は堅苦しいからアクセスする気が起きない」
「図表とかで一覧したい」

これは私自身が思っていたことです。

本記事では2018年からタイで働き始め、業務上使ってきたもので
読者のみなさまに、サクッとタイのビジネス概要を知っていただければと思います。
データ引用は全て「タイ政府」や「世界銀行」などの公式情報からの引用です

 

ーこの記事を読むとー

 タイ王国のビジネス基礎情報がわかります

 タイ王国の経済雑学が知ることができます

 

本記事を読んで参考になる方は、こちら

【本記事対象の方】

  • タイ王国のビジネス情報をサクッと知りたい方
  • タイ王国の話題(ネタ)がほしい方

 

【記事の信頼性】

  • タイでのビジネス歴6年目
  • タイの日系商社の駐在員で4年勤務(Manager)
  • タイのオーナー系中堅財閥企業勤務(Director)

※参考(私のLinkedIn

 

なお、タイの基礎情報はサクッとこちらをお読みください。

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経済概要

概観

名目GDP
(IMF)
5,361億ドル
(2022年)
一人当たりGDP 7,650ドル
(2022年)
実質GDP成長率
(IMF)
2.6%
(2022年)
消費者物価上昇率
(IMF)
6.1%
(2022年)
GDP産業別割合
(タイ国家経済社会開発委員会)
製造業:27%、各消費活動:17%、農業関連:9%、他
(2021年)
観光客数
(タイ国家統計局)
3,991万人
(2019年)
自動車生産台数
(タイ工業連盟)
188.3万台
(2022年)
政策金利
(タイ中央銀行)
1.25%
(2022年期末)
対内投資額
(タイ投資委員会)
認可数:802件
認可金額:320,445 百万バーツ
(2022年)
最低賃金@バンコク
(タイ労務省)
353バーツ/日
約1,360円

※為替レートは2023年4月換算

 

続いて、経済トレンドは以下です。

IMF・タイ中央銀行より筆者作成

 

2011年の大洪水で、製造業を中心として大きな影響を受けましたが、
それ以降、新型コロナウィルス蔓延までは順調だったのがわかります。

観光客が年間4,000万人弱訪れ、観光業が大きな収入の一つであるタイにとって、
新型コロナウィルスの影響は大きかったです。
しかし、2022年後半から各国より一足先に観光客の受け入れを開始し、
経済活動の再開と更なる飛躍のアクセル踏んでいるように感じています。

 

GDP

以下、GDP関連の統計・推移を見ていきます。
順調に右肩上がりで推移してます。

名目GDP

IMFより筆者作成

一人当たりGDP

IMFより筆者作成

実質GDP成長率

IMFより筆者作成

2010年以降、2-4%の範囲で成長しているのがわかります。

一方、世界銀行における「中進国」の定義の位置付けに入るタイは、
ASEAN地域内での比較において、成長率は低い方です。

 

外務省資料を筆者追記

 

GDP産業別割合

NESDCより筆者作成

人口の約30%が従事している農業のGDP割合は約9%の一方、
製造業でGDPの約30%を創出しています。

各産業、特に自動車・二輪の産業におけるサプライチェーンが確立しており、
原料調達以降の加工・組立・流通が整備されているのが大きな強みです。

 

消費者物価上昇率

 

IMFより筆者作成

2022年は世界各国の物価上昇率の流れを受けた一時的大幅上昇になっておりましたが、
2023年4月時点では落ち着いて来ているように見受けられます。

 

旅行者数 推移

タイ国家統計局より筆者作成

タイは2020年の新型コロナウィルスの影響前は順調にインバウンド需要を取り込んできました。
最近では、大麻関連ビジネスと嗜好を兼ねた訪問者が急増しております。

尚、タイは魅力的な観光資源・気候・物価・食事が多いため、
以下の表のように世界でも有数の観光地です。

順位 国名 訪問者
(万人)
1位 フランス 8,932
2位 スペイン 8,350
3位 米国 7,925
4位 中国 6,570
5位 イタリア 6,451
6位 トルコ 5,119
7位 メキシコ 4,502
8位 タイ🇹🇭 3,991
9位 ドイツ 3,941

UNWTO(2019年度)より参照

 

自動車生産台数 推移

 

タイ工業連盟より筆者加筆作成

タイは東南アジアにおける自動車産業の集積地であり、
多くの自動車会社や部品メーカーが競い合っている国です。

部品調達から完成車までのサプライチェーンが出来上がっていることで
自動車生産台数の増減が、タイ及び東南アジア経済の目安にもなります。

 

2010年前半の減税政策により250万台の大台に近づきましたが、
減税政策終了後は200万台付近の生産台数を彷徨ってきました。

現在は、タイ政府は「カーボン・ニュートラル」の目標を掲げ、
2030年に自動車生産台数を250万台付近を目標とし、
(そのうち30%をEVにする政策)
更なる発展を目指しています。

 

政策金利 推移

タイ中央銀行より筆者作成

2011年の大洪水あとに、積極的に利下げで経済活動を刺激し、
それになぞってタイの経済活動は活発に推移しました。

2022年は米国・欧州同様に大幅な物価上昇率を抑えるために、利上げを実行しました。

 

最低賃金推移(バンコク)

タイ労務省より筆者作成

2023年5月の総選挙で、各党は更なる最低賃金値上げを打ち出しており、
今後も、企業の労働コストがあがる可能性は高いです。

 

対内直接投資

国が発展するためには自国資金だけでは不可能で、
タイ政府は工業省傘下の投資誘致機関であるBOI(The Board of Investment)を中心として
積極的に外国投資を受け入れて来ました。

タイ投資委員会より筆者作成

主には、各ランクにより、法人税免除・輸入関税免除・外国人就業者への労働許可証の発行などの恩恵を
外国投資企業へ付与します。

 

SET(タイ株式)推移

2023年4月25日TradingViewより

1983年〜2023年の40年間の推移です。
ボラティリティは先進国に比べたらまだ高いですが、
各企業の配当性向高く、以下の外国人投資家の条件もあり
投資家からの資金が例年集まる傾向にあります。

 

<蛇足>
ほとんどの外国人投資家はこの条件を選択する
①キャピタルゲイン税なし ②配当金源泉徴収10%

 

雑学編

ゴム原料 輸出額 世界1位

順位 国名 百万$
1位 タイ🇹🇭 8,881
2位 インドネシア 4,266
3位 ベトナム 3,191
4位 韓国 3,172
5位 米国 2,657
6位 日本 2,373

出典:UNCTD(2021年)

タイ南部(マレーシアとの国境あたり)で天然ゴムの生産がさかんです。

しかしながら、市場価格に大きく左右されるため、
政府からの補助金が必要だったりと、一筋縄にいかない産業です。

 

エビの養殖生産量 世界6位

順位 国名 生産量(千㌧)
1位 中国 5,348
2位 インド 1,054
3位 ベトナム 990
4位 インドネシア 947
5位 エクアドル 890
6位 タイ🇹🇭 431

出典:FAO(2021年)

世界三大スープで有名なトムヤンクンの「クン」は
「エビ」の意味です(正確なタイ語読みは「グン」)。

岡山理科大学の「好適環境水」を使用した
エビの養殖研究も行われており、(参考
時勢にあった試みがされています。

 

牡蠣の養殖生産量 世界9位

順位 国名 生産量(千㌧)
1位 中国 5,819.1
2位 韓国 305.9
3位 日本 158.4
4位 米国 147.2
5位 フランス 86.5
6位 フィリピン 40.7
7位 台湾 17.8
8位 カナダ 17.3
9位 タイ🇹🇭 13.3

出典:FAO(2021年)

タイでは古くから牡蠣を食べる習慣がありましたが、
近年では購買力の上昇と食事へお金をかける文化から
ワインと牡蠣合わせて楽しむ高級路線が流行し、
オイスターバーが続々と出店されています。

それに合わせて元々行われていたタイ南部と東部での海上養殖にプラスして
陸上養殖の話題もトレンドとして出て来てます。

 

米の生産量 世界6位

順位 国名 生産量(百万㌧)
1位 中国 212.8
2位 インド 195.4
3位 バングラデシュ 56.9
4位 インドネシア 54.4
5位 ベトナム 43.8
6位 タイ🇹🇭 33.5

出典:FAO(2021年)

世界的に有名なタイ米ですが、
近年ではタイ北部で作った日本米ブランドが流行する一方で、
ベトナムに生産量で抜かれてベトナム産の米が輸入するなど
転機が訪れていると見受けられます。

 

サトウキビの生産量 世界5位

順位 国名 生産量(百万㌧)
1位 ブラジル 715.6
2位 インド 405.3
3位 中国 106.6
4位 パキスタン 88.6
5位 タイ🇹🇭 66.23

出典:FAO(2021年)

タイは世界有数の砂糖生産と砂糖輸出を誇る国です。

しかしながら、従来より一般的であった焼畑による収穫が
大気汚染の一因になっているとのことから
改善が急務になっています。(参考

一方、バイオマス原料やバイオプラスチック、バイオエタノールなど、
タイ政府が国をあげて注力している分野です。

 

さいごに

最後までお読み頂きましてありがとうございました。

タイの基礎知識について、少しでもお役に立てれば嬉しいです。

 

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タイで働くことに興味を持ってくださった方は、合わせて読んでみてください。

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    ・フィットネスジム関連
    ・環境関連事業

 

引用元・参照サイト

タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)
タイ投資委員(BOI)
目で見るASEAN by 外務省
United Nations World Tourism Organization(UNWTO)
タイ国・バンドン湾における沿岸 域利用 by 京都大学東南アジア研究所
独立行政法人 農畜産業振興機構

 

< 略歴 >

  1985年 神奈川県生まれ
  2005年 早稲田大学入学
  2010年 商社入社
  2018年 タイ駐在
  2022年 商社退職 →フリーランス →タイ企業Director就任

 

本資料は、できる限り正確に記載するよう努力しておりますが、その正確性を保証するものではありません。
本情報の採否は読者のみなさまの判断で行って頂ければと思います。
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